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糸島ジビエ工房

おいしく安全なジビエづくりにゴールはない 向上心を胸にジビエ・猟師と向き合っていく

メッセージ

相内 啓靖(株式会社tracksジビエ事業部長)

私たちは九州地方のジビエ産業の発展や里山の保全に取り組んでおり、福岡県糸島市でジビエ処理施設『糸島ジビエ工房』を運営しています。『糸島ジビエ工房』は約50名の猟師が糸島市と周辺エリアで捕獲したシカ、イノシシなどを、国産ジビエ認証に沿った環境・方法で処理加工しています。シカやイノシシのほか、アナグマ、マガモといった希少獣種を扱っているのも特徴です。海と山に恵まれた糸島市から、季節ごとのジビエのおいしさを届けていきます。

Pick up!

  • 猟師による正確な止め刺し、余分な血や水分を抜いて旨味を際立たせる工程『枯らし』を駆使して、四季折々の魅力を感じられるジビエを作っています。

  • 子どもから大人まで親しまれるジビエづくりを支えているのが徹底した衛生管理です。2024年3月には国産ジビエ認証を取得し、安全・安心に食べられるジビエを追求しています。

  • 地域の猟師と密に連携を取りながら捕獲動物を円滑に処理しています。猟師とジビエ処理施設が互いに信頼し合えるパートナーシップが、良質なジビエづくりには不可欠です。

個性豊かな野生動物が生息する“ジビエの楽園”

フォトジェニックな海辺の景色や温暖な気候などの魅力があり、リゾート地として人気を集める福岡県糸島市。九州最大の都市・福岡市からのアクセスも良く、国内外の観光客でにぎわう町はいま、おいしいジビエを全国に届けるジビエ産地として知名度を高めています。

『糸島ジビエ工房』は里山や狩猟文化を受け継ぐことを目指して2019年に開設しました。ジビエを通して古き良き里山を感じてもらうため、シカやイノシシなどの野生動物をおいしいジビエにしようと日々精進し、腕利きのジビエ職人チームとして台頭。現在はフレンチ、イタリアン、日本料理など、料理ジャンルを超えて全国の飲食店から信頼されています。

『糸島ジビエ工房』の特徴のひとつが豊富な取扱獣種です。シカやイノシシはもちろん、アナグマ、マガモ、アライグマといった希少獣種が生息する糸島市一帯は、まさに“ジビエの楽園”!『糸島ジビエ工房』で狩猟から処理加工までを担う相内さんは、糸島発ジビエの人気ぶりを実感しています。「シカやイノシシに次いで、アナグマの問い合わせも増えています。料理人の皆さんが使いたくなるジビエを作ることができてうれしいです」

四季折々のジビエの持ち味を引き出す処理加工

『糸島ジビエ工房』のジビエは、肉質をとことん突き詰める処理加工で作られます。猟師が適切に止め刺し・血抜きをした個体を素早く解体すると、枝肉を1~2日かけて冷蔵庫で寝かせます。この『枯らし』と呼ばれる工程が、枝肉から余分な血液と水分を抜き出し、旨味をとじ込めるとともに柔らかい肉質に仕上げます。冷蔵庫をのぞくと『枯らし』中のイノシシとアナグマの枝肉が。おいしいジビエとして出荷される日が刻一刻と近づいています。

相内さんたちジビエ職人のチェックを通過した枝肉は、精肉や調理用商品に加工されます。施設内は衛生管理や処理加工方法を徹底しているため、“おいしく安全なジビエ”として自信をもって提供できています。この日の加工室は、串焼きの仕込みの真っ最中です。「シカとイノシシの串焼きは年間1万本売れる人気商品です。イベントで提供すると子どもから大人まで大盛況で、『おいしさにも安全にも妥協せず作ってきて良かった』としみじみ思います」と相内さんは思わず笑顔になります。

シカ、イノシシ、アナグマ、マガモ、アライグマ……。獣種ごとの“個性”を調理するのもひとつの楽しみですが、相内さんは「肉質のうつろいも楽しんでいただきたいです」と言います。シカは青々とした木の葉を食べて成長し、夏場は良質な赤身のおいしさを、秋は赤身と脂身が調和したおいしさを味わえます。イノシシやアナグマは12月頃に近づくにつれて脂身がだんだんと厚くなり、摂取した果物の香りが脂身にのるそうです。季節ごとに色を変える糸島の景色のように、『糸島ジビエ工房』のジビエにも四季折々の表情があります。

おいしく安全なジビエを作る施設として、常に向上心を忘れない

『糸島ジビエ工房』は数多くの飲食店から支持されてもなお、よりおいしく、より安全なジビエを作るための取り組みを進めています。2024年3月には国産ジビエ認証を取得し、施設内の衛生環境やスタッフの衛生意識のレベルアップに取り組んでいます。「おいしく安全なジビエづくりにゴールはないと思っています。施設や処理加工プロセスに改善・改良できる点があれば変えていきたいです」と相内さんは謙虚に話します。

「飲食店の皆さんに知ってほしいことがあります」と相内さんが訴えかけたのが、保健所の許可を得ていない猟師・施設が流通する“違法ジビエ”と“ジビエの生食”の問題です。ジビエ処理施設にとって飲食店はジビエの魅力を発信するパートナーだからこそ、相内さんはジビエを正しく理解することの大切さを口にします。「当施設は商品ごとに二次元コードを発行しているので、購入者は捕獲地域や捕獲者のイニシャルなどを確認できます。安全・安心のジビエを選択するための判断材料として、こうしたジビエ処理施設の取り組みがあることを知っていただければなによりです。食べ方に関しては、生食はもちろん生食に近いレアやたたきも厳禁です。ご存知の方も多いと思いますが、『ジビエは十分に加熱する』という大前提をこの場を借りてあらためてお伝えさせていただきます」

そして、今後も良質なジビエを安定的に供給していくため、猟師の育成や処理体制の強化に力を注いでいます。『糸島ジビエ工房』の代表兼猟師の江口さんが確立した手順書のもと、すべての猟師が適切な捕獲・止め刺しができるよう講習会を開いて技術指導を行っています。その技術を習得した猟師の数は約50名。今日も相内さんは頼れる猟師たちとコミュニケーションを取りながら、おいしく安全なジビエづくりに打ち込んでいます。さらに、大分県日田市にある系列施設『日田ジビエ工房』は2025年上旬に国産ジビエ認証を取得予定です。ジビエづくりの担い手としてどのように成長していくのか、これからも相内さんたちの取組に注目です。

基本詳細

事業者名
株式会社tracks
代表者名
江口 政継
所在地
〒819-1611
福岡県糸島市二丈片山1-1
取扱獣種
シカ、イノシシ、アナグマ、アライグマ、マガモ
骨の取り扱い
骨付きあり
取り扱い部分
肩ロース、ネック、ウデ、ヒレ、ロース、バラ、外モモ、内モモ、シンタマ、スネ
納品形態
冷凍出荷
包装の状態
真空パック包装

問い合わせ先

電話番号
092-332-9818
メールアドレス
itoshima★gibiertracks.com
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営業時間
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定休日
日曜、祝日
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