神々が宿る山が育む『古座川ジビエ』
県内の7割以上を森林が占める和歌山県のなかでも“秘境”と呼ばれる古座川町。神々が宿る熊野の山の間を、川底が見えるほどに澄んだ清流・古座川が流れる風光明媚なまちです。地域に生息するシカやイノシシを“まちの宝”として活かすために開設した『古座川ジビエ 山の光工房』は、シカや鳥の鳴き声がこだまするのどかな山里にあります。
全国のジビエ処理施設を視察して設計された『古座川ジビエ 山の光工房』には、ジビエをおいしく安心して味わってもらうための工夫が散りばめられています。シカとイノシシは搬入口で入念に洗浄し、衛生管理された空間で解体・熟成を行います。ロースやモモなどに切り分けた各部位は解凍時のドリップを抑えるために瞬間液体凍結機を使って短時間で冷凍し、古座川町オリジナルブランド『古座川ジビエ』として出荷されます。
滋味あふれるジビエに仕上げる、エネルギッシュな3人衆
東京や大阪の名店からも支持される『古座川ジビエ』を手掛ける『古座川ジビエ 山の光工房』は、たくましさ満点のマスコットキャラクターを旗印に、エネルギーに満ちあふれるジャイアンさん、森田さん、山田さんの3人で運営しています。それぞれが猟師として熊野の山々を入る豪快さと、捕獲されたシカやイノシシを手際よく処理加工する繊細さを兼ね備えた、古座川町期待のホープです。
『古座川ジビエ 山の光工房』の施設長・ジャイアンさんは、総合格闘家を経てジビエの世界に飛び込んだ異色の経歴の持ち主です。鍛え上げられた体と明るいキャラクターを活かしてジビエの処理加工を取り仕切るかたわら、『古座川ジビエ』のプロモーションにも積極的に参加しています。さまざまなイベントで料理人や消費者と接するなかで、ジャイアンさんは『古座川ジビエ』に大きな可能性を感じています。
「『古座川ジビエ』になるシカやイノシシは、熊野の山に自生する木々の新芽やシイの実、名水百選にも数えられる古座川の水で成長します。その滋味深い味わいは料理人の皆さんに少しずつ広まっており、『知り合いのシェフが高く評価していたので一度使ってみたい』と依頼された時はとてもうれしかったです」と笑顔で話すジャイアンさん。人気部位の背ロースはつややかな赤身が美しく、口当たりはなめらか。嚙むほどに旨味が広がります。
ドイツ仕込みのマイスターが作る生ソーセージ
熊野の大自然が育んだシカとイノシシの食肉と並ぶ、『古座川ジビエ』の看板商品が生ソーセージです。ドイツで修行を重ね、食肉加工職人の国家資格『メッツガーマイスター』を与えられた森田さんが、古座川町のシカ・イノシシを引き立てるレシピを一から考案。ゆずや大葉などの食材とジビエを組み合わせた、新たな“ジャパニーズソーセージ”が誕生しました。
ドイツ・バイエルン州のレングリースで腕を磨くなかで、ジビエが身近な食材であることを実感した森田さん。だからこそ、生ソーセージ開発では日本人が日常的に食べたくなるおいしさを目指しました。「『<猪肉>白みそ&大葉』には死後硬直前のイノシシ肉を使い、弾力のある特徴的な食感に仕上げています。本場仕込みのおいしさだけでなく調理のしやすさも評価いただき、飲食店からの問い合わせは増えています」と森田さんは手応えを口にします。森田さんは1本50gにサイズアップした業務用生ソーセージ(10本入り)を開発するなど、飲食店のニーズに応える商品開発は現在も続いています。
焼くだけでおいしく食べられる『古座川ジビエ』の生ソーセージ。シンプルにして奥深いおいしさを演出しているのが、ゆずやにんにくなどの地産食材です。山田さんは「『<鹿肉>ゆず&ブラックペッパー』をぜひ一度味わってほしいです」とおすすめします。何を隠そう、使用されているゆずは山田さんが手塩にかけて栽培したものです。作り手たちの情熱が注ぎ込まれた生ソーセージが多くの飲食店に支持されるのもうなずけます。
『古座川ジビエ』のおいしさを地域一丸となり伝えていく
古座川町のシカやイノシシを“地域の宝”へと磨き上げた『古座川ジビエ 山の光工房』の手腕を、古座川町長の大屋一成さんは高く評価しています。大屋町長も『古座川ジビエ』のおいしさに魅せられたジビエラバーのひとり。熊野の大自然が育むおいしさが日本中に知れわたる日を目指して、『古座川ジビエ』に誇りを持つ人々はこれからもその魅力を力いっぱい発信していきます。