# 和歌山県

ひなたの杜

「ジビエそのものを活かす」「料理人とはまっすぐに向き合う」 飾らないスタンスでおいしいジビエを届けたい

メッセージ

湯川 俊之(右・理事)|中田 峻也(左・猟師/解体師)

紀州南高梅の一大産地として、世界農業遺産にも認定されている和歌山県田辺市からジビエのおいしさを届けるジビエ処理施設『ひなたの杜』です。市内のほとんどが山林という自然環境のなかではシカやイノシシが多く生息しています。『ひなたの杜』はシカ、イノシシという山の恵みを良質な食肉として流通させることを目指し、捕獲個体の品質、施設内の衛生管理、飲食店のニーズに応える食肉加工など、さまざまなこだわりをもってジビエに向き合ってきました。こだわりの集大成である『ひなたの杜』のジビエは、田辺市の名産として着実に知名度を高め、全国各地の飲食店でも使用されています。

Pick up!

  • 赤身と真っ白な脂身のコントラストが美しいイノシシ肉。素早く的確な止め刺しと十分な血抜きを徹底する『ひなたの杜』のこだわりが詰まった逸品です。

  • 和歌山ジビエ処理施設衛生管理認証制度にもとづいて衛生管理・温度管理された施設で、シカ・イノシシをジビエに処理加工します。施設内では料理人向けのジビエづくり体験も行っています。

  • 人気店もひいきにするジビエのおいしさは、和歌山県田辺市の広大な自然環境が育んでいます。『ひなたの杜』はシカ・イノシシのおいしさを損なわない止め刺しや処理加工プロセスを徹底しています。

「おいしさは“スピード”で決まる」を掲げるジビエ職人

紀伊半島の南西部に位置する和歌山県田辺市。市の総面積は1,000km²を超え、近畿地方の市町村で第1位の広さを誇ります。広大な土地の多くは山林で、シカやイノシシの生息地になっています。田辺市の山間部にたたずむ『ひなたの杜』は、田辺市の自然の恩恵を受けて育ったシカやイノシシを一級品のジビエに仕立てるジビエ処理施設です。

『ひなたの杜』を切り盛りするのは、ジビエ職人歴15年を超える湯川さんと、止め刺しから処理加工まで幅広くこなす施設スタッフの中田さん。湯川さんは長年にわたるジビエづくりを経て、「ジビエのおいしさは“スピード”で決まる」という考えにたどり着きました。「血抜きをいち早く、的確に行ったジビエのおいしさは段違いです。私たちは猟師さんや農家さんから連絡が入ると捕獲場所まで急行し、捕獲されたシカやイノシシが食肉に適しているかチェックしたうえで止め刺しします。おいしいジビエになるポテンシャルがあるかどうかは、シカやイノシシの“顔”を見ればわかりますよ」と笑う湯川さん。湯川さんの肩の力が抜けた自然なしゃべり口から、ジビエ職人としての自信がうかがえます。

赤身と脂身の美しいコントラストは“おいしさの証”

湯川さんたちが目利き・血抜きしたシカとイノシシは『ひなたの杜』に運ばれます。解体室に入ると、そこは清掃が行き届いたクリーンな空間!「衛生面にこだわるのは、ジビエ処理施設として当たり前のこと」と謙遜する湯川さんですが、和歌山ジビエ処理施設衛生管理認証制度を取得し、処理加工を行う環境レベルを高い水準でキープし続けるのは簡単なことではありません。手早く血抜きしたシカとイノシシの持ち味を損なわないために、『ひなたの杜』では施設内の衛生管理・温度管理を徹底しています。

秋が深まり始めたこの日、湯川さんが精肉加工するのはイノシシのバラとロースです。メスのイノシシ肉は、冬が進むにつれて良質な脂が厚みを増す、湯川さんおすすめの逸品。しっとりとした赤身とつややかな脂身のコントラストが美しいです。「脂身が白いのはおいしいジビエの証だと思っています。血抜きが不十分なジビエは脂身がピンク色になります。『ひなたの杜』が一秒でも早い血抜きにこだわるのは、捕獲・血抜きの時点でジビエのおいしさの80%が決まると考えているからです」と湯川さんは話します。

精肉加工の“ひと手間”で、ジビエ料理のハードルを下げる

『ひなたの杜』のシカ肉とイノシシ肉のおいしさには、田辺市の気候と地理的特性が大きく関わっています。近畿地方一の面積を誇る田辺市は、寒暖差が大きい山間部と温暖で雨が多い海岸部に分かれます。田辺市に生息するシカとイノシシは、異なる気候が混在する市内を移動しながら、季節ごとの食物を摂取して成長します。恵まれた環境のおかげで、シカは夏場であってもしっかりと脂身を蓄えていると湯川さんは話します。「海岸部から吹く潮風の影響で、山間部の木々の葉っぱにはミネラル分が付いています。シカはその葉っぱを好んで食べているので、ミネラル分が肉にアクセントを加えていると思います」

『ひなたの杜』が手掛けるジビエの質の高さは、すでに全国各地の人気店の知るところになっています。ただ、湯川さんはもっとたくさんの飲食店がジビエ料理を提供してくれることを願っています。「ジビエは寒い時期の食材とイメージする方もいますが、『ひなたの杜』のジビエには四季折々の魅力があります。初めてジビエを調理する方には、すき焼きやソテーなどが火入れしやすいのでおすすめ。希望の厚さにスライスして出荷することもできますので、気軽にジビエ料理にチャレンジしてほしいです!」

料理人の好奇心・向上心に寄り添うジビエ処理施設を目指す

『ひなたの杜』のこだわりは、ジビエづくりの“外側”にもあります。シカやイノシシの剝皮から解体、精肉加工を間近で見学できるよう施設内には大きな窓が付いており、ジビエ職人の手さばきや処理加工スピードを体感できます。ガラス越しの見学では満足できない料理人の皆さんに朗報!事前に予約すれば、ジビエの処理加工を体験できます。「百聞は一見に如かず、シカやイノシシからジビエを作る経験は、ジビエに関する知識をぐんと増やし、ジビエ料理のヒントをもたらすはずです」と湯川さんは説きます。この日、『ひなたの杜』には愛知県から視察に来たというシェフの姿が。湯川さんは親身にジビエづくりをレクチャーし、料理人とジビエの作り手との交流が生まれていました。

湯川さんが目指すのは、飲食店と気さくにやりとりするジビエ処理施設です。湯川さんは「町の魚屋のように、『いいシカが入荷したけど、どう?』と電話できる飲食店が増えるといいですね。やっぱりお店ごとの好みやこだわりを知ったうえで、一番のジビエを提供したいですから。『ひなたの杜』のジビエだけでなく、私たちの作り手の人柄を知っていただけたらうれしいです。ぜひ気軽にお電話を!」とはにかみます。ジビエづくりにも料理人との交流にもまっすぐな湯川さんは、これからも実直に飲食店のジビエ活用を応援していきます。

基本詳細

事業者名
ひなたの杜
代表者名
湯川 俊之
所在地
〒646-0101
和歌山県田辺市上芳養469-2
取扱獣種
シカ、イノシシ
骨の取り扱い
骨付きあり
取り扱い部分
肩ロース、ネック、ウデ、ヒレ、ロース、バラ、モモ(外モモ・内モモ・シンタマが1セット)、スネ
納品形態
冷凍出荷(チルド対応可能 ※要相談)
包装の状態
真空パック包装

問い合わせ先

電話番号
0739-33-7870
メールアドレス
ajimsausage★circus.ocn.ne.jp
※★記号を@記号に置き換えて下さい
営業時間
終日対応
定休日
不定休
URL
https://kishu-gibier.com/